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車両軌跡図の書き方:作図の手順と掃過範囲の読み方

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Founder & Developer · 公開日 · Reading time: 21分で読めます

軌跡図車両軌跡図作図手順道路構造令内輪差
ボンネットの上のクリップボードに置かれた、2軸トラックの軌跡図の印刷図面と車両諸元表。基準点の印が入っており、背景に敷地の門とトラック
ボンネットの上のクリップボードに置かれた、2軸トラックの軌跡図の印刷図面と車両諸元表。基準点の印が入っており、背景に敷地の門とトラック · イメージ画像(AI生成)

「このトラックは敷地の入口を曲がれるか」を図面で示すのが車両軌跡図です。会社によって旋回軌跡図、走行軌跡図とも呼ばれますが、指している図は同じで、書き方も同じです。ここでは、その図が何を示さなければならないのかを整理し、コンパスと分度器による作図手順とそこで狂いやすい点を確認したうえで、道路構造令の設計車両の諸元を使って同じ結果をブラウザで出すところまでを順に説明します。

軌跡図とは何を示す図か

軌跡図が示すのは、車両が旋回のあいだに通過した範囲、つまり掃過範囲です。一本の線ではなく面であり、その面には性格の違う二つの境界があります。

  • 外側の境界を決めるのは、車体の前外側の角です。この角は前端オーバハングのぶん前輪より前にあり、しかも車体の幅の外端にあるため、旋回中に描く半径がいちばん大きくなり、前輪が通る線より外側を通ります。門柱や擁壁の角にぶつかるのは、たいていタイヤではなく車体です。ただし後端オーバハングの長い車両では、旋回を始めた直後に車体の後端が外側へ振り出します。曲がっている途中の外側の境界を決めるのは前外側の角ですが、出だしの真横にある門柱や壁に当たるのは後部の角のことがあります。
  • 内側の境界を決めるのは、車体後部の角ではなく、車軸位置の後輪です。旋回中に車両が曲がりの内側へ最も近づくのはこの点で、縁石に乗り上げるかどうかはここで決まります。

言葉の取り違えも図面の狂いに直結します。

用語指すものよくある取り違え
道路の曲線半径図面上の一本の線(内側の縁石など)の半径それだけでは通れるかどうかは分からない
最小回転半径車両そのものの値。最外側のわだちで測った半径必要な道路幅として読み替えてしまう
掃過範囲(軌跡図)ある経路を走ったときに車両が通過した面車両の諸元だけで決まると思ってしまう

この「最外側のわだち」は、条文が明示している測り方です。道路運送車両の保安基準第6条は「自動車の最小回転半径は、最外側のわだちについて十二メートル以下でなければならない」と定めています。車両制限令第3条第1項も、一般的制限値の一つとして最小回転半径を車両の最外側のわだちについて12mとしています。測っているのは最も外側のタイヤが通った跡であって、車体の外形でも、通行に必要な道路幅でもありません。だから半径ひとつでは図面にならず、軌跡図が必要になります。

内輪差と前部の張り出し

内輪差は、旋回中に後輪が前輪より内側を通る、その差を指す言葉です。軌跡図の内側の境界を作っているのは、この現象です。外側では前端オーバハングのぶん車体の前外側の角が前輪の外側を通ります。これが前部の張り出しです。軌跡図は、この二つを一枚に重ねた図だと言えます。

内輪差は軸距が長いほど、また曲がりがきついほど大きくなります。ただし、式ひとつで図面の代わりになるわけではありません。教科書的には、最小回転半径は軸距をタイヤの最大切れ角の正弦で割った値に近似されます。これは近似であって、諸元表に載る最外側のわだちの値そのものではありませんし、直線から円弧に入るまでの区間も含んでいません。内輪差を数字で押さえたい場合でも、最後は経路を与えて掃過範囲を求めることになります。

手で描く場合の作図手順

まず、コンパスと分度器による古典的な作図手順を確認します。手順はおおむね次のとおりです。

  1. 最小回転半径で基準の円弧を描きます。
  2. 後軸の延長線上に旋回の中心を取ります。
  3. 一定の角度きざみで車両を回転させ、各位置に車体の外形を写します。
  4. 各位置の前外側の角、内側の後輪、最外側のタイヤの跡を、それぞれ結びます。
  5. 旋回の前後の直線区間をつないで一枚の図にします。

この手順そのものは正しく、軌跡図が何でできているかを理解するには最良の方法です。問題は精度と手間のほうにあります。

  • 角度きざみのあいだで起きることは描かれません。 最も外へ振れる瞬間がきざみときざみの間に落ちれば、その位置は図に出ません。
  • 直線から円弧に入るまでの区間が抜けます。 実際の運転では、ハンドルは一瞬では切れません。定常円だけで描いた図は、実際より細く出ます。
  • 条件を変えるとやり直しになります。 設計車両を替える、門の位置を1mずらす、進入角度を変える。検討のたびに全部描き直すことになり、比較検討そのものが現実的でなくなります。

据え切り旋回と通常旋回

フォーラムエイトやエムティシーの作図ソフトは、旋回方法をあらかじめ区分しています。フォーラムエイトの車両軌跡作図システムは「通常旋回」(一定の旋回半径での旋回)、「通常旋回(クロソイド曲線法)」(緩和曲線区間を考慮した旋回)、「据え切り旋回」(コーナーで一旦停止し、ハンドル据え切りで最小旋回半径となる状態での旋回)を挙げています。エムティシーの走行パターン一覧では「停止旋回・解法1(止まりハンドル)」と表記されています。

通行を前提にした検討では、走りながら操舵する通常旋回が実際の動きに合った前提になります。据え切り旋回が当てはまるのは、構内での切り返しや駐車のように、実際に停止してハンドルを切る場面だけです。同じ車両でも掃過範囲は変わるので、どちらの前提で描いたかは図面に書き添えてください。

条文に印刷された諸元で描く

日本には、道路の設計の基礎とする自動車の諸元が法令そのものに印刷されているという利点があります。道路構造令(昭和45年政令第320号)第4条第2項は、小型自動車・小型自動車等・普通自動車・セミトレーラ連結車の4種について諸元を表で定めており、条文はe-Gov法令検索で無償で読めます。敷地の出入口の検討でいちばん出番が多いのは普通自動車で、諸元は次のとおりです。

項目普通自動車
長さ12m
幅2.5m
高さ3.8m
前端オーバハング1.5m
軸距6.5m
後端オーバハング4m
最小回転半径12m

同じ表の備考が、測り方も定めています。前端オーバハングは車体の前面から前輪の車軸の中心まで、軸距は前輪の車軸の中心から後輪の車軸の中心まで、後端オーバハングは後輪の車軸の中心から車体の後面までの距離です。手で描くときも、ソフトに入力するときも、この基準で測った値を使ってください。

注意すべき点が一つあります。ここでいう普通自動車は道路を設計するための車両であって、特定のトラックの車種ではありません。実在の車種で確かめたい場合や、連結車を扱う場合は、それぞれ別の諸元が必要になります。

ブラウザで同じ図を出す

検討そのものは図面上の作業で、成果物も図面です。手描きの作図を置き換える場合、手順は6つです。PathSweeperはブラウザだけで動き、インストールは不要です。画像の図面(5 MBまで)はアカウントなしで、PDFの図面は無料アカウントで読み込めます。どのツールを使うかで迷う場合は、PathSweeperとAutoTURN Onlineの比較に機能と料金の形の違いをまとめています。

  1. 図面を読み込む。 現況図や配置図をPDFまたは画像で読み込みます。門柱、縁石、植栽、区画線など、動かせないものが写っている図面を使ってください。
  2. 縮尺を合わせる。 ツールバーの「縮尺」で、長さの分かっている区間を2点で指定し、実寸を入力します。この工程は必須です。ここが合っていなければ、面積も書き出しも意味を持ちません。
  3. 車両を決める。 無料で使える標準車両4種(乗用車・小型貨物車・2軸トラック・バス)は、一般的な寸法の雛形であって、公式の設計車両ではありません。PathSweeperは道路構造令の設計車両を収録していないので、上の表の値で確かめるには、「任意寸法の車両」に諸元を自分で入力します。車両を作って保存すること自体は、アカウントにログインしていれば無料です。作った車両をプロジェクトの作図に使うときに、そのプロジェクトのProject Pass(プロジェクトパス)またはAnnual Passが必要になります。長さ・幅・前端オーバハング・軸距・後端オーバハングは、表の値をそのまま入れます。最小回転半径は入力の形が違い、最外側のわだちで測った回転円の直径を入力する項目に、表の半径を2倍した値(普通自動車なら24m)を入れてください。道路構造令はこの半径をどこで測るかまでは書いていませんが、車両制限令第3条と道路運送車両の保安基準第6条は最外側のわだちで測ると定めているので、ここでもその読み方で入力しています。
  4. 経路を作図する。 「作図」で、実際に走る線を図面の上に引きます。進入と退出は別々に引いてください。片方だけが通れても、検討としては足りません。
  5. 掃過範囲を読む。 掃過範囲はリアルタイムで表示されます。「設定」で通常旋回と据え切り旋回を切り替え、「余裕幅」を加え、「車輪の軌跡を表示」で内側の後輪がどこを通るかを確かめます。無料版は据え切り旋回で計算します。通常旋回は画面上で試せますが、通常旋回で作図した経路を保存して書き出すには、そのプロジェクトのProject PassまたはAnnual Passが必要です。門柱に当たる、境界線を越える、といったことはその場で分かるので、門の幅や進入角度を変えて何度でも試せます。
  6. 書き出す。 PNGとJPEGは無料で書き出せます。CADに渡す場合は、Project PassでDXFまたはDWGを書き出せます。書き出し前に図面上に基準点を置くと、その点がファイルの原点(0,0)になります。

作図でよくある間違い

  1. 諸元表の最小回転半径を、必要な道路幅として使う。 測っているのは最外側のわだちです。車体の外形でも、所要道路幅でもありません。
  2. 内側の境界を車体後部の角で引く。 内側を決めるのは車軸位置の後輪です。ここを取り違えると、いちばん危ない場所が図から消えます。
  3. 定常円だけで確かめる。 実際にはハンドルを切りながら進むぶん、掃過範囲は定常円で描いた図より広くなります。
  4. 余裕幅を入れない。 いすゞ自動車は自社が公開している旋回軌跡図について、「この旋回軌跡図で車両通過のできる道路幅を検討する場合は、1m以上を余裕幅として考慮してください」と書いています。さらに、公開しているのは車型バリエーションの中で最も代表的なものであり、車型によっては所要道路幅が異なるとも断っています。メーカー自身の注意書きです。
  5. 縮尺を合わせずに面積を読む。 図面の縮尺が合っていない状態で読んだ数字は、単なる画面上の長さです。
  6. 設計車両と実在の車種を混同する。 道路構造令の普通自動車は設計のための車両です。特定の車種で確かめたいときは、その車種の諸元を使ってください。
  7. 後端の振り出しを見落とす。 後端オーバハングの長い車両は、旋回の出だしで車体の後端が外側へ振り出します。前外側の角の軌跡だけを見ていると、出だしの真横にある門柱や壁が図から抜けます。

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図面を読み込み、縮尺を合わせ、経路を引けば、掃過範囲はその場で表示されます。PathSweeperで軌跡図を描くのは無料で、インストールもアカウントも必要ありません。任意寸法の車両を作って保存するのも無料で、その車両をプロジェクトで使うこと、通常旋回で作図した経路の保存、DXF・DWGの書き出しに、Project Pass(1プロジェクトごとの買い切り、€39)が必要です。

よくある質問

軌跡図は、車両が旋回のあいだに通過した範囲、つまり掃過範囲を示す図です。会社によって車両軌跡図、旋回軌跡図、走行軌跡図とも呼ばれますが、指しているものは同じです。一本の線ではなく面で、外側の境界は車体の前外側の角が、内側の境界は車体後部の角ではなく車軸位置の後輪が決めます。車両の諸元だけでは決まらず、同じ車両でも走らせ方によって面の形は変わります。道路構造令第4条第2項は設計車両ごとに長さ・幅・高さ・前端オーバハング・軸距・後端オーバハング・最小回転半径を定めており、軌跡図はこの諸元と走行経路から作ります。

手描きの手順は、最小回転半径で基準の円弧を描き、後軸の延長線上に旋回の中心を取り、一定の角度きざみで車両を回して各位置の車体外形を写し、前外側の角・内側の後輪・最外側のタイヤの跡をそれぞれ結び、旋回前後の直線区間をつないで一枚にする、というものです。この方法は図の成り立ちを理解するには最適ですが、角度きざみのあいだで起きることは描けず、直線から円弧へ入るまでの区間も抜けるため、定常円だけの図は実際より細く出ます。図面の縮尺を合わせたうえで経路を与え、掃過範囲を面として計算させれば、車両や経路を変えた検討もその場でできます。

内輪差は、旋回中に後輪が前輪より内側を通る、その差を指す言葉です。軸距が長いほど、また曲がりがきついほど大きくなります。教科書的には、最小回転半径は軸距をタイヤの最大切れ角の正弦で割った値に近似されます。ただしこれは近似であって、諸元表に載る最小回転半径、すなわち最外側のわだちで測った値とは別のものです。直線から円弧に入るまでの区間も式には入りません。門柱や縁石に当たるかどうかを判断するには、経路を与えて掃過範囲そのものを出す必要があります。

使えません。道路運送車両の保安基準第6条は「自動車の最小回転半径は、最外側のわだちについて十二メートル以下でなければならない」と定めています。車両制限令第3条第1項も、一般的制限値の一つとして最小回転半径を車両の最外側のわだちについて12mとしています。どちらも測っているのは最も外側のタイヤが通った跡であり、車体の外形でも、通行に必要な道路幅でもありません。いすゞ自動車は自社が公開している旋回軌跡図について、車両が通過できる道路幅を検討する場合は1m以上を余裕幅として考慮するよう案内しています。

同じ図で、書き方も同じです。フォーラムエイトは「車両軌跡作図システム」、エムティシーは「車両走行軌跡作図システム」、シビルテックは「車両の旋回軌跡作図」と、会社ごとに呼び方が違うだけです。違いが出るのは名前ではなく旋回方法の前提で、フォーラムエイトは「通常旋回」(一定の旋回半径での旋回)、「通常旋回(クロソイド曲線法)」(緩和曲線区間を考慮した旋回)、「据え切り旋回」(コーナーで一旦停止し、ハンドル据え切りで最小旋回半径となる状態での旋回)を分けています。通行を前提にした検討では通常旋回のほうが掃過範囲が広く出るため安全側で、据え切り旋回は実際に停止してハンドルを切る場面にだけ当てはまります。どちらの前提で描いたかは図面に明記してください。

出典・参考資料

  1. 道路構造令(昭和45年政令第320号)第4条第2項 設計車両の諸元 — e-Gov法令検索(デジタル庁)
  2. 国土交通省「道路構造令の解説」資料 1-2 設計車両(第4条 設計車両) — 国土交通省
  3. 車両制限令(昭和36年政令第265号)第3条 一般的制限値 — e-Gov法令検索(デジタル庁)
  4. 道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第6条 最小回転半径 — e-Gov法令検索(デジタル庁)
  5. UC-1 車両軌跡作図システム Ver.4(旋回方法の区分) — 株式会社フォーラムエイト
  6. 車両走行軌跡作図システム APS-K for AutoCAD(走行パターン) — 株式会社エムティシー
  7. i-CAD 軌跡(車両の旋回軌跡作図) — 株式会社シビルテック
  8. 主要諸元・車両外観図・旋回軌跡図 — いすゞ自動車株式会社

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